丁稚

私の父は、コテコテの大工の棟梁でした。

昔は、大工になるには、丁稚にならなければ

いけませんでした。丁稚の生活は厳しくものです。

丁稚の方は、住込みでうちの家に居候します。

給与はありません。月に五千円程のお小遣い

だけです。ただし、食費も部屋代も無料です。

仕事を覚えさせてもらうことから、それが当たり前

という考え方だったそうです。ただ、丁稚を雇うのは

大変なことです。タダ飯を食べさせる上に、仕事を

教え一人前になれば皆独立してしまうのです。

経済的にだけ考えれば、損あれど徳はありません。

しかし、こうした考えのお陰で技術が継承されて

きたのです。今では、考えられない日本の古き良き

慣習なのです。