英断 

工務店時代に、私が建てた家をお客様に気にいってもらえなかったこと

が数回あります。いわゆるクレームというものです。

法律では、工事ミスなどは、手直しをすれば問題ありません。

しかし、こうした考え方は、あくまでも法律的見解です。

工務店側はミスをしたりお客様と、もめた途端に法律を盾にする傾向があります。

契約をとる前までは、心を込めた家造り的な営業をしておきながら、途端に手の平を

かえす会社をたびたび見かけます。

しかし、私はミスした時こそ、こうした心が大事だと思います。

お客様が、数ある工務店から選んで頂いた気持ちを考えれば法律という心のない

ものに逃げれないのではと思います。

こうした考えの私は、お客様が気にいらない家を建ててしまった時にとった行動は

解体して総てをやり直すという方法でした。

3回ほど新築の家を解体し建て直したものです。

そこまで、潔く決断をするとお客様の怒りが強い信用に変わったものです。

なぜ、こんな昔話をしたかというと、

今回、私の周りでも似たことがあったからです。

先日の台風で、運悪く工事中に建物が水浸しになり、

セルローズや床、躯体が水びたしになってしまった現場がありました。

その現場を請け負った工務店は、セルロースと床を

やり直すために撤去したのですが、躯体にカビが生え

撤去した時の傷などが残りました。

法律的見解では、撤去してやりなおせば何の問題もないのですが

お客様は、いくらカビを撤去しようが、傷の補修をしようが、やはりしっくりこない

という気持ちであり、やり直しを希望されました。

こうした現状を聞いた私は、工務店に、私なら解体してやり直すと告げました。

すると、その工務店は潔すぎる行動をされました。

なんと、今回のクレームには関係ない何の問題もない基礎やサッシ等の

総てを新品にするという英断をくだされました。

今回、この工務店は、この現場では大きな損失を出すと思います。

しかし、長い目で見ればこうした真のお客様目線は、この会社の文化となり

何事にも変えられない貴重な財産となることだと私は思います。

そんな素敵な判断をくだしたに拍手ですな。

こうした逃げない真摯な姿勢、まったくもっていいものですね。

PS ただ、養生不足でお客様に迷惑をかけたことも忘れないでください。